周りの人が知っておきたいつらさ

過敏性腸症候群は、お腹の痛みや便通の異常だけでなく、いつ症状に襲われるかわからない不安を伴う病気です。しかし、命に関わる病気ではないことや症状が目に見えないことから、その苦しみがなかなか周りに伝わりにくい側面があります。家族や友人がこの病気で悩んでいる場合、その見えないつらさを知ることが大きな支えになるでしょう。

この病気を抱える人が感じるつらさは、お腹の不調だけではありません。「またお腹の調子が悪いの?」という何気ない一言が、本人を深く傷つけてしまうことがあります。急にトイレに駆け込まなければならない状況は、本人にとってもどかしく申し訳ない気持ちでいっぱいになるものです。

そのため、会議や長距離の移動、友人との会食などすぐにトイレに行けない場面を無意識に避けるようになり、日常生活に大きな支障が出てしまうこともあります。こうした行動が周りから付き合いが悪い、やる気がないと誤解されてしまうこともあるのです。

そこで大切になってくるのが、病気を特別扱いするのではなく静かに寄り添う姿勢と言えます。頻繁にトイレに行ったり、食事を残すことなどを責めたり、心配しすぎたりせず「気にしないで」と声をかけるだけで、本人の気持ちは楽になるでしょう。

症状について根掘り葉掘り聞かず、本人が話したいと思うまで待つことも大切です。また、善意のアドバイスもすでにさまざまなことを試している本人にとっては、プレッシャーに感じてしまう可能性があります。

その際には、その人が抱える不安や生活のしにくさに思いを馳せる周囲の理解が求められるでしょう。何か特別なことをする必要はありません。ただそばにいてくれる人がいる安心感が、つらい症状と向き合う勇気につながっていきます。